導入事例 - 富士山の絶景を望む国立公園での挑戦「スタイルキャビンあさぎり」(静岡県富士宮市)
Published On: Nov 25th, 2025 , Categories: Story
はじめに
日本が世界に誇る象徴、富士山。
その雄大な姿を目前に望む場所は数多く存在しますが、その景色の中で「地面と近い滞在をする」ことができる場所は、実はそう多くありません。
私たちエリアノは、遊休地や未活用地にトレーラーハウスを活用した空間を創出することで、その土地の体験価値・事業価値のポテンシャルを最大化する事業を展開しています。
今回は、静岡県富士宮市にある「あさぎりフードパーク」と全面協働し、富士箱根伊豆国立公園内という厳しい規制エリアで実現した宿泊施設「スタイルキャビンあさぎり」の事例をご紹介します。
なぜ、この場所に宿泊拠点が必要だったのか。
なぜ「建築」ではなく「トレーラーハウス」だったのか。
その背景にあるストーリーと、私たちが目指した「滞在価値」についてお話しします。
富士山麓の食のテーマパーク「あさぎりフードパーク」
富士山西麓に広がる朝霧高原。
標高900m前後に位置するこのエリアは、冷涼な気候と広大な牧草地が広がり、酪農や畜産が盛んな地域です。その中心に位置するのが、今回の舞台である「あさぎりフードパーク」です。
ここは「食と自然の融合」をテーマに、地元の酒造、乳業、製茶、製菓などの食品工房が集まる食のテーマパークです。道の駅「朝霧高原」に隣接し、訪れる人々は富士山の絶景を眺めながら、作り手の顔が見える安心・安全な食を楽しみ、自然体験ツアーや工房見学などを体験できます。

年間を通じて多くの観光客が訪れる人気のスポットですが、そこには長年の課題が存在していました。
課題:素晴らしい「点」を、どうやって「線」や「面」にするか
あさぎりフードパークは、非常に魅力的なコンテンツを持っています。しかし、これまでの観光客の動線は、道の駅やフードパークで食事や買い物を楽しみ、富士山の写真を撮って終わる、いわゆる「通過型」の観光が主流でした。
敷地内にはオートキャンプ場も併設されていますが、キャンプはテントの設営や撤収の手間がかかる上、高原特有の変わりやすい天候や、冬場の厳しい寒さに大きく左右されます。そのため、アウトドア上級者以外の層にとって、この場所で「夜を過ごす」ことのハードルは決して低くありませんでした。
「昼間の数時間だけでなく、夕暮れの富士山や満天の星空、そして朝霧に包まれた幻想的な風景を味わってほしい」
「もっとゆっくり滞在して、各工房の食文化を深く体験してほしい」
しかし、近隣には快適に過ごせる宿泊施設が少なく、観光客は夕方になると富士宮市街地や他の観光地へ移動してしまうのが現状でした。この場所に、天候に左右されず、誰もが安心して泊まれる「拠点」を作ることが、滞在価値を向上させるための必須条件だったのです。
国立公園の壁と、トレーラーハウスという最適解

あさぎりフードパークのある朝霧高原一帯は、富士箱根伊豆国立公園の第2種特別地域などに指定されています。国立公園内では、自然景観を保護するために厳格な建築規制が設けられており、新たに宿泊施設(建築物)を建てることは非常にハードルが高いのが現実です。
そこで私たちが提案したのが、建築物を建てずに空間をつくる「トレーラーハウス」という手法です。
富士宮市の正式な許可を得たプロジェクト
トレーラーハウスの設置にあたり、エリアノとあさぎりフードパークはタッグを組み、所管行政庁である富士宮市と綿密な協議を重ねました。自然公園法をはじめとする関係法令を遵守し、景観への配慮や環境への影響評価をクリアした上で、富士宮市からの正式な許可をいただき、トレーラーハウスの設置が実現しました。これはスタイルキャビンあさぎりが国立公園内における持続可能な宿泊事業の手法として認められたことを意味していると言えるでしょう。
「建てない」からこそ守れる自然
トレーラーハウス最大の特徴は、基礎工事が不要であり「随時かつ任意に移動できる」ことです。 国立公園のような自然豊かな場所において、土地を掘り返してコンクリートで固める建築行為は、環境への負荷が懸念されます。しかし、タイヤで接地するトレーラーハウスであれば、現状の地形をほとんど変えることなく設置が可能です。また、万が一事業を終了する場合や、土地の利用目的が変わった際にも、車両を牽引して移動させるだけで、迅速に「現状復旧」ができます。
美しい自然を後世に残すために、可逆性(元に戻せること)を担保した空間設営は、この場所において最も適切なアプローチだったと考えています。
絶景と悠久の時間を過ごす「特等席」
こうして誕生した「スタイルキャビンあさぎり」は、単なる寝泊まりする場所として提供されているだけではなく、ここでしか味わえない宿泊体験がデザインされている点が特徴的です。
キャビンの大きな窓やウッドデッキの向こうには、遮るもののない雄大な富士山がそびえ立っています。昼間は賑わう高原も、夕方が近づくと静寂に包まれます。夕陽に染まる赤富士、漆黒の空に輝く星々、そして早朝、小鳥のさえずりとともに目の前に現れる圧倒的な富士山の姿。
ここに宿泊する人だけが独占できる「悠久の時間」が味わえる、贅沢で特別な場所です。

夕食にはフードパーク内の工房で作られた食材を使ったBBQや、地元のクラフトビールや日本酒を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。室内にはエアコンや断熱材を完備しており、悪天候や冬の寒さを気にすることなく、快適に過ごすことができるため、四季折々の富士山と大自然を楽しむことができるよう設計されているのです。


食と絶景、そして快適な空間が融合することで、お客様の滞在時間は大幅に延び、地域のファン作りに直結しています。
エリアノが描く、地域共創の未来
「スタイルキャビンあさぎり」は、規制の厳しい国立公園内であっても、アイデアと技術、そして地域とのパートナーシップがあれば、新たな価値を生み出せることを証明しました。
あさぎりフードパークというパートナーと、富士宮市の理解、そしてエリアノの空間プロデュース力が噛み合った結果、通過点だった場所が「目的地」へと変わったのです。
私たちエリアノはこれからも、トレーラーハウスという柔軟なツールを活用し、日本各地の国立公園や景勝地に、その土地の自然を活かした「新しい居場所」を創造していきます。
あさぎりフードパークに関するお問い合わせ先
あさぎりフードパーク:https://asagiri-foodpark.com/
お電話:0544-29-5101
お問い合わせフォーム:https://asagiri-foodpark.com/contact.html
静岡県富士宮市根原449-11
トレーラーハウスに関するお問い合わせ先
お問い合わせフォーム:https://areano.jp/contact
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